遊びが『自制心』を格段に伸ばします。昔から受け継がれてきた子どもの遊びは非常にお勧めです。
むかしながらの遊びは楽しいだけでなく、実行機能の発達を助けます。重要なのは、子どもたちが遊びに慣れるにつれて内容を難しくすること(スピードを上げる、ルールを追加する、ルールを逆転する、など)。それでは、ここで実行機能を伸ばせる遊びの紹介をしていきます。
子どもの「賢さ」を伸ばす遊びとは?役に立って楽しい遊びの数々
♦「自然な反応を抑える」ことを必要とする遊び」
速い曲とスローな曲を交互に入れたプレイリストをつくり、全員で音楽に合わせてダンスをし、停止ボタンを押すと、全員がストップ。スローな曲はゆっくり、速い曲はすばやく踊ります。その後慣れてきたら、考え方を逆転し、スローなときはすばやく踊って、速い曲ではゆっくり踊る。という遊び。
♦「強い注意力」を必要とする遊び
はみ出さないように一列で歩く遊びです。床のフローリングやカーペットにマスキングテープで幅のしるしをつけたり、丸太の上を歩く、などルールを決める遊びです。
♦「認知の柔軟性」を必要とする遊び
親が「眠れ、眠れ」と子守唄を歌っているあいだ、子供たちは寝たふりをします。「…そして目を覚ましたら、あなたはサルです。」と親が動物を指定し、子供は目をあけ、その動物になりきるという適応能力を必要とする遊びです。
♦「ひとつに集中すること」を必要とする遊び
車に乗っているときに、トヨタのヴォクシーを見たら「カブトムシ!」と叫ぶ瞬発力を試される遊びです。(その車の色やほかにフレーズを決めて叫んだりというルールにしても楽しいです)。
ごっこ遊びで「脳」を鍛える
子どもの脳に効果的な「ごっこ遊び」。「他の人のふり」に子どもがぼっとうできる遊びです。子ども同士の「ごっこ遊び」は相談することから始まります。「私がママ役ね」などと相談が終わるとお芝居が始まります。これが典型的な「ごっこ遊び」です。遊びとはいえ、しっかりとした構造があります。この遊びは、脳の実行機能、つまり子どもが「目標を立てて、計画しタスクを継続し、注意散漫にならない」ためのスキルの発達を促します。
♥1歳〜3歳
この時期にごっこ遊びを覚えさせる
*子どもに「ごっこ遊び」のやり方を教えましょう。
空のコップを、渡して飲むふりをさせたり、味見をするふりをして、今度は〇〇ちゃんがやってみて」と同じことをさせる。
*ルールを決める
子どもが聞いたことのある台詞を使うこと。子どもに役になりきった声色やしぐさをさせるのが理想的です。
♥3歳〜5歳
3歳〜5歳では「ごっこ遊び」の概念はあっても、演じることは難かし位ものです。なので、手助けが必要です。
*「毎日の光景」を使って、アイデアを組み立てる
例:スーパーで。他の人たちを見ながら「お店の人はこういったね」「レジの人がこうしているね」と子どもに説明してあげると、家に帰ってから子どもが真似をしやすい。
*「子どもが好きな物語」に沿ってごっこ遊びをする
*「小道具」を自分でつくる
シンボル的な小道具を一緒に手作りすることで、思考力が鍛えられます。
*お話をふくらませる手助けをする
*同じことを何度かやったら「新しい展開」を提案する
♥5歳以上
5歳以上になれば子どもだけで遊ばせましょう。
*大人は「アイデアの補助」に回る
*「材料」を提供する
*子どもが人形を多用し始める
*物語や絵本のストーリーをベースにしたお芝居をする
子どもの脳を育てるなら「劇」がおすすめだそうです。早期教育プログラムで「演劇」という取り組みをした子どもの性格の特徴として以下の項目が挙げられました。
・創造的
・言葉が流暢
・問題解決能力が高い
・ストレスが半分
・社交的
「ごっこ遊び」といのは、楽しく脳を鍛える高度な遊びだといえると思います。
まとめ
「自制心」は子どものうちに育みたい最も重要なスキルの一つです。気の進まないこと(宿題など)を始めたり続けたりする能力は、成功する人生をつくるための強力な武器になります。
小学校の高学年までに、粘り強さが少ない、衝動性が高い、注意力が弱いなどの自制心が弱い子どもは、同じころに自制心が強い子どもに比べて、30年後の健康度が低く、経済力が悪く、犯罪率が高い傾向がみられるようです。
自制心は実行機能(思考や行動を制御する認知システム)と呼ばれる脳内プロセスにより統括されています。
これまでご紹介してきた遊びをすることによって抑制力、作業記憶、注意力、認識の柔軟性が合わさって、問題解決、理由づけ、計画、報酬の遅延(ほしいと思ったものをもらうのを先延ばしにすることができる)ができるようになるのです。
親が子どもと一緒になってよく考えながら遊ぶことで自然と実行機能が身についてくるのだと考えます。
コメント